乾燥する季節、それは冬
冬は寒い、そして乾燥しているというのは、私たちの「常識」になってしまっているのです。その状態は約半年間も続きます。この日本では、約半年間も寒くて乾燥した状態が続くことになるのです。冬の間は私たちはより多くの衣類を身につけ、部屋を温め、寒さをしのぎます。ですが、「乾燥」に対する対策を講じる人は少ないようです。
冬は寒くて乾燥しやすい。それはある程度この日本に暮らしていれば経験上わかるものです。ですが、その「理由」はあまり考えないものです。「理由」がどうあれ、「冬は乾燥する」ということに変わりはないからです。ただ、日本の冬のこの乾燥は、「寒いから乾燥する」というわけではありません。そこには「理由」があります。
冬の時期の乾燥の原因は、「シベリア」にあります。「シベリア寒気団」と呼ばれる高気圧が、冬の間中、日本の西側に位置しています。シベリア気団が日本に攻め寄せる際、まず日本海側に大雪をもたらします。その際に含む水分をすべて放出してしまい、乾いた状態になってしまうのです。その後、太平洋側に到達した乾いたシベリア気団によって「乾燥した冬」が生み出されてしまうというわけです。
さらに私たちは「寒い」と「暖房」を使います。暖房を使うと、空気はさらに乾燥していきます。その状態が、いわゆる「私たちの知っている冬」となります。男性であればあまり部屋の「加湿」にこだわらない人も多いかもしれません。ですが、冬場にただ暖められた部屋では、ただでさえ乾燥している状態に輪をかけて乾燥します。外は寒くて乾燥している、中は暖かいけれどもさらに乾燥しているという状態です。
そのような状態ではただいるだけで肌は乾き、寝ていてもただ喉が乾くのです。それだけであればいいのですが、そのままにしていると風邪の原因になるウイルスや細菌が空気中を飛散しやすくなり、同じ部屋、同じ家に住む誰かがそのような疾病にかかった際、家庭内での感染のリスクが一気に膨れ上がります。「冬場」にインフルエンザなどの注意喚起がなされるのは、そのような理由からです。寒さで免疫力が低下している状態に輪をかけて、感染しやすい状態であるからです。
そのようなことを鑑みると、私たちが「当たり前」だと考えている「冬の厳しさ」は、普段考えているよりもリスクが高いということです。暖かく過ごすことは当然考えるものですが、加えて「如何に保湿するか」ということも視野にいれておくべきです。女性であれば「美容のため」ということで冬場の加湿は当たり前のように考えるかもしれません。ですが、男性はそのようなことには鈍感であることが多いものです。加湿器などはただ水を入れれば使えるようなものがほとんどなのですが、それでも「面倒」という理由で使わない方も多いものです。
寝ている時に喉が乾いたり、何でもないような肌荒れが深刻な「ひび割れ」になってしまったり、「乾燥」は人にとってなにもいいことがありません。「ジメジメしているよりも乾燥している方がいい」と考える人も多いかもしれませんが、それにも限度があるものです。本当に乾いた空気は、その空間に立ち入るだけでわかるものです。それほど「水分」は私たちにとって重要であり、欠かせないものであるのです。
考えてみれば、私たちの体の大半は水分でできています。乾燥を嫌うのは、決して心理的なものではなく、「生理的」な生命の保護本能からなのです。