目には見えないからこそ感じ取りたい湿度
「湿度」は目には見えません。目に見えないからこそ「感じ取る」必要があります。湿度は空気中に含まれる水蒸気です。水蒸気は沸騰させた水や沸き立つお湯から立ち上るものではなく、目には見えないものなのです。水蒸気と湯気は違います。寒い日に吐く息が白いのは、体内から放出される空気には多分に水分が含まれていて、それが外気にさらされた瞬間に水分飽和量を下回るからなのです。
湿度が不足すると私たちの体にはさまざまな変調が起こります。それを敏感に感じ取り、「乾燥している」と自ら察知できるようになれば、「加湿する必要がある」と判断を下すことも容易いのです。私たちの体は常に水分を失っていきます。常に水分を欲しています。尿として老廃物とともに排出されるだけではなく、吐く息にも含まれています。また汗をかいていなくても体表面から水分は失われているのです。
私たちの肌は常に潤いが必要です。私たちの体を構成する成分のほとんどは水分です。細胞は水分によって支えられ、すべての体組織には潤いが必要なのです。「乾燥」は私たちの大敵なのです。常に水分を必要とする私たちにとっては、乾燥した状態というのはいちはやく脱したい異常事態であり、体の表面から潤いを失うと明らかな変調とともに不快感を覚えるのです。
乾燥した状態に身をおくと、まず外気に触れている顔や手の肌、そして髪などがうるおいを失っていきます。冬場の悩みの多い「手のあかぎれ」などはいい例です。それは水仕事などで手から油分を失うことの多い方が特に感じる症状で、手が乾燥し、カサカサになり、「ひび割れ」などを起こすのです。「ひび割れ」とは文字通り肌が裂けてしまうことです。肌が裂けてしまうと、それは「傷」です。通常であればそのような傷は自然と治癒するのですが、乾燥状態にあるとそのひび割れが慢性的なものになってしまい、なかなか治らないのです。そのひび割れは冬の間中ずっと続くものになります。水に触れ度に痛みを感じ、また手を動かす度に痛みを感じるようになってしまうのです。
また、乾燥によって誰でも生じる症状として、「唇のひび割れ」があります。一旦唇がひび割れてしまうとこれもなかなか治りません。唇は食事をする度、また会話をしたりする際に必ず動くものです。生活している以上、その動きを止めることはまず不可能です。その唇が、大気の乾燥によって潤いを失い、柔軟性を欠いてしまい、ひび割れてしまうのです。ひび割れてしまうと血も出てしまいます。顔は人にもっとも見られる体の部位です。唇がひび割れていると、思いの外目につくものです。ですから、冬になると私たちはリップクリームなどでその潤いを保とうとするわけです。
さらに乾燥が私たちに与えるダメージとしては、「髪の乾燥」が挙げられます。髪の毛は痛覚がなく、爪などと同様に伸び続ける存在としてある意味体のいち部分ではあるものの、体組織とはかんけいがないように感じられます。ですが、女性の方などであれば髪を伸ばしていたり、きちんと手入れをしていたりするものです。その「髪」もやはり潤いが必要です。髪の毛から潤いが失われると、パサはパサになってしまったり、切れやすくなってしまったりするのです。
そのようなさまざまな症状から、私たちは「乾燥」を感じ取ることができます。乾燥を感じ取ったら、それらの部位をなんらかの手段で保護するか、空気を加湿するかしかないのです。