二重窓で湿度を逃さない
冬場に起きる困った現象、窓への結露ですが、それを未然に防ぐためには住宅の作り方の工夫が必要です。結露が生じる原因は、空気が冷やされてしまう点にあります。それを防ぐことが出来れば、結露は生じないということになります。空気の温度を保てば、その湿度の飽和量が保たれ、一度含んだ水分が放出されないということです。
そのためには、「窓を暖めておく」ということが考えられます。しかし、住宅の窓のすべてに「ヒーター」をつけることはあまり現実的ではありません。何で暖めるのかということを考えると、「電気」になります。人が中にいる間はすべての窓を暖めるということが必要になります。それでは電気代がかかりすぎてしまいます。たとえ結露が生じず、部屋も温かい状態を保てたとしても、ずっと外気にさらされる窓にヒーターをつけるのはナンセンスです。
同じ日本の中を見渡してみても、本州よりもずっと寒さが厳しい北海道などでは、窓が二重になっています。この「二重窓」が、結露防止の切り札になるのではないでしょうか。外気と接触する外の窓、そして部屋の空気に接触する内側の窓の二重構造であれば、内部の空気が冷やされてしまうことなく、結露も生じ辛くなります。窓をヒーターで暖める必要もなく、内側の窓と外側の窓の間の空間が緩衝材となって急激な温度変化を内部の空気に与えることがありません。結露が生じることを防ぐことが出来れば、一旦潤した空気から水分が逃げていくことを防ぐことができます。つまり、「湿度を保てる」ということになるのです。そうすれば効果的な保湿が実現され、快適に過ごすことができるようになるのです。
一度完成してしまった住宅の窓を後から二重にするということは「リフォーム」に相当します。そして二重窓それぞれの距離はあいていればいるほどその効果は高くなりますが、後から二重にする場合はその距離が十分に取れない場合が多いでしょう。ですから、もし自宅を新たに建設するような場合は最初からそのような設計にしておくことが好ましいでしょう。それによって費用が大幅にかさんでしまうというようなことはあまり考えられません。少しの工夫で結露を防ぐことができ、毎年必ずやってくる乾燥の季節を乗り越えることができるのです。
空気と水分の原理を理解することで、少しの対策で大きな効果が得られるということは、まさに人間の「知恵」がなすことです。私たちは生物学的にも「水分」が必要です。そして、その水分は液体として飲める、浴びられる状態にあるものだけではなく、体を覆う大気にも必要なのです。もしも身にまとう空気が潤った状態であれば、肌の乾燥やそれによる髪の痛みなどは無縁になります。体が求めている状態を実現することは、「健康的」であり、体が健康であれば精神も健全に保てるというものです。
毎年やってくる長くて厳しい冬を快適に、健康的に、健全に過ごすためには「湿度」を無視することはできません。過ごす環境を潤った状態にする必要があるのです。この国に生きている以上、冬は必ず乾燥します。それが自然のサイクルだからです。それを乗り越えるための工夫を私たちはずっと続けてきましたし、これからもその取組みをやめることはないでしょう。